Nao Lingerie公式サイト インタービュー Blog 考える 栗原菜緒の心地よい生き方を探して 第一回目 Vol.1 安藤美冬さん

栗原菜緒の心地よい生き方を探して 第一回目 Vol.1 安藤美冬さん

ドメスティック・ランジェリーブランドのNAO LINGERIEの社長兼デザイナー・栗原菜緒が「会いたい、話したい、人生のお手本にしたい」と思う人々を招いて、ゲストの持つ美意識や信念、想いを栗原が一緒に探求、寄りそう本コーナー。

記念すべき第一回目は、フリーランスとして組織に属さずに個人で働く草分け的存在として有名な安藤美冬(あんどうみふゆ)さんにお越しいただきました。30歳で独立し、ベストセラー作家、講演家、テレビコメンテーターとして活躍してきた彼女に訪れた転機とは!?安藤さんが見つけた「本当の心地よさ」に栗原が迫ります。

ー自尊心について考える

栗原菜緒(以下、栗原):「今日は改めて、美冬さんと”自尊心”についてお話しができればと考えています」

安藤美冬(以下、安藤):「自尊心って、NAO LINGERIEが最も大切にする概念なんですよね。菜緒ちゃんが見た目に美しく、また良質な下着をつくるのは、女性が自分の身体を大切にしてほしいから。尊厳をもって、大切な部分を大切にしてもらいたいからなんですよね」

栗原:「そうなんです。そういえば美冬さんとは、7月に一緒にロンドンに行く機会があって。ロンドンのカフェでも、何時間も自尊心について話し込みましたよね。自分を大切にするって、具体的にどんなことだろうって」

安藤:「私はこれまで、自尊心という言葉は知ってはいたけれど、本当の意味で自分を大切にするということが分かっていなかったなって思います。菜緒ちゃんの創業への想い、下着に込めた意味を何度も聞いて、やっと先日、自尊心をもって生きるということが体感を伴って理解できた。この体感をもって、今日は楽しくお話しできたら!」

栗原:「ありがとうございます。自尊心というキーワードをブランドの核として打ち出しているものの、なかなか理解されづらい概念ということもあって。今日は美冬さんと、心地よい生き方を語る前にまず、自尊心や、自分を大切にすることについて取り上げてみたいと思っています。

この対談の前にまず、自尊心について色々と調べてみたんです。そこで気になった言葉がありました。ある心理学者が『自分のこと以上に誰かを尊敬する必要はない』と言っているんです。これはちょっと極端過ぎるな、と思うんですが……。美冬さんはどう思います?」

安藤:その言葉に100%同意ですね!」

栗原:「えー!本当ですか?」

安藤:「誰かを尊敬するな、という意味ではないんです。周りの人を尊敬する気持ちはとても大切です。でも、自分よりも上位に誰かを置くことには、私は違和感を感じます。時々、他の誰かに異様に熱狂したり、すごいと賛辞を送る人がいますが、同様に私は違和感を感じちゃう。尊敬の裏側が見えるんです」

栗原:「尊敬の裏というと……?あるのは比較でしょうか」

安藤:「そうですね。比較という表現もできるかもしれません。言うなれば、尊敬が強ければ、軽蔑も強い、といったところ。他の誰かを尊敬する裏側で、他の誰かを軽くみてしまう。自分よりも上、でもあの人は下、というように。

だから私が思うのは、普通にしていればいいんじゃないかなということ。他の誰かは、自分と同じように素晴らしい。自分と同じように、決して完璧ではないかもしれないけれど、それでも自分と同じように大切。やっぱり、自分を尊敬する気持ちがあってこそ、健全に他人も同じように尊敬する気持ちが育まれるのではと思います。だからこそ、「今こそ自分を最大限に大切にするとき」なんじゃないかな」

栗原:「自分を最大限に大切にすること、ですか?」

安藤:「自分の自尊心を自分で満たしていないと、関係性にひずみが生まれ、長期的にいい関係を築くことができないと思います」

ーあってもなくても、「無条件に幸せだ」という感覚

栗原:「そう、大事なのは自分の自尊心なんですよね。そして、それは自分で培っていく作業なんですよね。私は幼い頃から自分の感情に蓋をすることに慣れすぎていて。自分を大切にしていなかったな、と反省しています。だから、今こそ私も本音で生きよう!って思っているところです。

事業を立ち上げたからには上手くやりたいし、誰の気分も損ねる必要はない。それを最優先にしてきたんです。よく言えば「立ち回り上手」なのかもしれませんが、今思えば、それって本音じゃない。自分を生きてないなって感じるようになりました。そこで最近、引越しをした際、「自分の好きなものしか置かない」って決めたんです。一つでも不要なものは要らないって過ごしてみたら、少し話は飛びますが、突然、五感が発達してきたんです」

安藤:「五感が発達? 具体的にはどんな状態なんですか?」

栗原:「野菜の葉類を噛む感覚とか、洗い物をしているときの泡とスポンジとガラスがキュッとなる感覚とか。自転車を漕いだときに香る湿った土の匂いとか。全てが快感になってきちゃって」

安藤:「五感が発達? 具体的にはどんな状態なんですか?」

栗原:「野菜の葉類を噛む感覚とか、洗い物をしているときの泡とスポンジとガラスがキュッとなる感覚とか。自転車を漕いだときに香る湿った土の匂いとか。全てが快感になってきちゃって」

安藤:「それは凄い……。感覚が研ぎ澄まされてくると、そんな感じになるのかな。今を生きる、今この瞬間を生きるって感じですね。以前、瞑想をして心を鎮め、目を開けた時、いつもよりも太陽がまぶしく感じたり、草木の色が深い緑に見えたりしたことがあるんですが、それに近いのかしら。

ところで、私は今の菜緒ちゃんの年齢、35歳の時に色々と自分を見つめるきっかけとなる出来事が起きたんですね。その頃、当たり前のように思えていたたくさんの人間関係や、仕事や、周りからの評価、自身の発信力といったものに、突然興味を持てなくなってしまったんです。やりたいことができて、夢がぎっしりあって、自由に生きられて、素敵な人間関係に恵まれて、確かにとても幸せだったのですが、「これがあるから幸せだ」「この人がいるから幸せだ」というような外側に幸せを感じられる条件をつけるよりも、自分自身の深いところから自然に湧き上がってくるような幸せを求めるようになりました。あってもなくても、いてもいなくても、私は幸せだ、という無条件な感覚。

さっき、菜緒ちゃんが引越しの際に、不要なものを一つ一つ手放していった話をしていましたが、私もそんな感じで、本当に必要なものは何だろうと向き合ったんです。結論は、自分が幸せを感じるために必要なものは、実はそんなに多くないということ。

そっか、幸せになるために頑張らなくていいんだ、ましてや人と競争することも、比較することもしなくていいんだ、私はすでに幸せだ、そう心底感じられたんです。

SNSから離れて、本当に大好きな人と過ごして、数は少ないけれどもやりたい仕事だけやって、心がときめく少ないモノだけを持ち、さらにシンプルな暮らしの中で比較や競争から離れた、心穏やかな場所にいる。これからどうなるかは考えていないけれど、少なくても今は、こうしたあり方が私にとっては心地よい生き方です」

栗原:「そうですよね。自分が心地よいものに囲まれると、それがその人らしさになるじゃないですか。インテリアでも心地よいものや人に囲まれて過ごす、そうすることで色んなことがスッキリしていくんです。私も今年引っ越しをしたことで、結果的に自分が本当に求める生き方がわかり、一歩を踏み出せた気がします」

Vol.2に続く

本日のゲスト

安藤美冬さん
フリーランス 著者、コメンテーター 慶應義塾大学在学中にアムステルダム大学に交換留学を経験。株式会社集英社勤務を経て独立。組織に属さないフリーランスとして、ソーシャルメディアでの発信を駆使した、肩書や専門領域にとらわれない独自のワーク&ライフスタイルを実践、注目を浴びる。書籍や連載の執筆、商品企画、大学講師、コメンテーター、広告&イベント出演など幅広く活動中。これまで世界60ヶ国を旅した経験を生かし、海外取材、内閣府「世界青年の船」ファシリテーター、ピースボート水先案内人なども行う。「情熱大陸」「NHKスペシャル」などメディア出演多数。著書に「行動力の育て方」(SBクリエイティブ)「ビジネスパーソンのためのセブ英語留学」(東洋経済新報社)「20代のうちにやりたいこと手帳2019」(ディスカヴァー)などがある。

テキスト・写真/鈴木佳恵

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